Q 一眼レフカメラと望遠レンズが欲しいんだけど?


秋の運動会シーズンを迎える頃になりますと
必ずこういった質問や注文を受けます

が、そのみなさんに必ず僕は
「おやめなさい」
と、いうアドバイスをすることにしています

その理由は
「スポーツカメラマンとして数々の現場をこなしてきた僕でさえも
思ったようには撮れないから」に他なりません



こんな写真しかお見せできないのは本当にしのびないのですが・・・


もちろん、周りのヒンシュクを顧みずプロ根性で撮影に挑むなら
できないこともないですよ
でも、ほら、そこは仕事じゃないし、ってことで
他のご父兄と同じような場所でレンズを構える訳です


っが、そんな経験豊富な僕でさえ難しい取材なのです
カメラやレンズの使い方に慣れていないお父さま方に
上手に撮れるわけがないのです
そんな写真を撮るために何十万もかける予算があるんだったら
小っちゃくて、画質も良くて、音もいい(しかもブレない)
「ビデオカメラ」
を購入することをおすすめします


じゃ、なんで市場にはあんなに一眼レフのデジカメが出回っているんだ?!

確かに、ある特定のイメージを撮ろうと思った場合
必要となる機材というのがあって
レンズを交換できる一眼レフカメラって言うのが凡庸性が高く
(ボディーは一台でレンズを交換することでいろんなイメージに対応)
経済性に優れますよ って、感じで売り込まれる訳です

しかし、例えば、かわいい女の子のポートレートをブロマイド風に撮ろうと思った場合に
使用するレンズっていうのがあるんですが
そこまでの写真を撮ろうと思ったら、
レンズ一本がバカ高い・・・
ましてや、野鳥や運動会や何やかんやとその都度レンズを揃えていったとしたら
とても経済的とは・・・ね〜
僕らプロでさえ、一本のレンズを購入する際は慎重に計画を練るんですよ

それに、一般の方が奥さまのご理解と、ご協力によって購入できるレンズっていうのは
明るさもそこそこで使い勝手もよくなくて・・・といったように
あまり良い環境とはいえませんもんね〜
ましてや僕らが使うようなレンズは高くてとても買いにくい・・・
(一本、何十万円ってしますからね〜〜)
買ったとしても、それを使いこなして「元を取った!」
っと、言い切れるまで 飽きないでいられるか・・・・?


そんなことより
デジカメは「コンパクトタイプ!!」に限ります

確かに使用できる環境は狭まりますよ
でもね、一般の方が必要としている環境としてはコンパクトタイプで
十分まかなっていると思うんですよ

「でも、やっぱりズームが・・・」
と、おっしゃる方も大勢いらっしゃいます

もし、ズームが必要な場合は機械に頼るのではなく
撮りたい対象物(業界ではこれを被写体といいます)に
自分の足で近づくことで、どうですか?


また、より広いところを撮りたいと広角レンズの必要性を訴える方もいらっしゃいますが
一般の方が手にできる
広角レンズ
その人のイメージを
満足させるレンズは「無い」でしょうね〜
(あっ、一本ありました、98,000円ですって、高っけー)

それと言うのも、広角レンズは一見、全てを写してくれそうですが
だいたいが
全ててはくれません

なぜなら、「写真になった場合には必ずそのスケールが小さくなるため」です

実際に、僕はこの夏、ロンドンに出かけましたが
市内にある重厚な建築物のパノラマティックな迫力をフィルムに納めることを
すべて放棄しました
自分の周りで展開している風景は決して写真に納めることは不可能だからです
「周りが写せるレンズもあるんじゃないの?」
という質問には
「写るだけならあります」
と、お答えはできます
しかし、自分の受けた感動を、撮った写真で他者と共有することはできない。
という事実を理解していただきたい
風景の持つスケール感は経験したことがなければ決して伝わりません
実物と同じスケールで360°囲えるような、超巨大な写真をプリントできたとしても
感動を伝えることはきっと不可能でしょう
写真の持つ限界がそこにはあるのです

それと同じように
運動会で一生懸命に走るわが子の、その一生懸命さは
決して素人さんが撮れるものではありません
したがって、いっその事
わが子が一生懸命走る姿は、自分の肉眼でしっかり見てあげて、
しっかり感動しましょうよ

と、いうのが僕の持論なのです

そして、その感動をどうしても伝えたい、残しておきたいと思った時は
ゴール地点で 顔を高揚させ、息を切らしながらも安堵の表情を浮かべるわが子を
やさしく迎えてあげましょうよ、
そして、ゆっくり近づいて

「よくがんばったね」
と、誉めてあげながら ポケットからコンパクトカメラを取り出してアップで一枚。
これだけで、その感動が伝わる気がしませんか?


ですから、
一眼レフカメラはOKとしても
望遠レンズはやめましょう

運動会にはコンパクト!
これで決まりでしょう

ただし、
メディアカードの残り枚数とバッテリーの残量には十分備えあれ!


'05.09.10 POP記