生きることと死ぬこと
![]()

20世紀も終わろうかという頃
その凄惨な事件は 神戸のベッドタウンで起きた。
連続幼児殺害事件。
犯人は14才の少年。
そのこと事態にも相当のインパクトを持っていたが
僕にショックを与えたものがもう一つあった。
弁護団の記者会見で少年の発言として
「カタツムリやナメクジは殺しても何も言われないのに
どうして自分がそんなに責められるのか?」
と、いった内容だった。
少年を精神鑑定に持ち込むための作戦だったというフシは
否めないものの、遠からず近い発言はあったろうと推測する。
さて、
僕がショックだったのはその事ではない。
僕にショックを与えたのは他でもない自分自身。
少年のこの言葉に即座に反論できなかった自分がいたことである。
そんなこと人生の中で一度も考えたことはなかった。
人間をナメクジ扱いしたことを容認しているのではない。
人間を殺す事はもちろん許しがたいことだが、この少年が言うように
じゃあ、ナメクジなら殺してもいいのか? という疑問だ。
いや、もちろん罪もない生き物を自主的には殺さないようにしてきたつもりだ。
しかし、罪なき生き物をいたぶりながら殺した事があることもまた事実。
ほんの数cc血を吸ったからと問答無用に殺生してしまう小さな昆虫や
得体の知れないばい菌を運ぶという理由で殺傷されていまう昆虫など限りない。
ナメクジに至ってはその実害もよく分からないまま
ただその容姿が気持ち悪いからと殺生。
彼等も生きるのに必死だっただけ。
ただそれだけの理由で殺されてしまう
生き物たちの声なき声は届いていなかった。
でも、きっとこれからも
あのかん高い羽音を聞くと無性に殺したくなるだろうし
そんな僕にあの少年を責める資格はない。
戦争なら100人を殺して英雄。
平常時なら例えヤクザであっても一人殺せば重罪人。
夜中に押し入ってきた強盗から家族を守るために
格闘の末、殺傷してもセーフで
借金の取り立てが厳し過ぎるからと取り立ての相手を
殺したらアウト。
突然飛び出して来たので仕方なく轢いてしまったネコはセーフで
生活の為仕方なく象牙を捕ったらアウト。
でも、生活の為仕方なく皮を剥いだワニならOK。
野生のキリンはアウトだけど
飼育している牛ならダイジョウブ。
僕らは食べるために鯨捕りたいけど
かわいそうだからダメ。
なんでやねん? どこが違うの?
そんな僕でも昨日は焼肉に舌つづみ。
生きるということはこんな矛盾に満ちていて
死ぬことには実は案外 無頓着。
まー、これが人間というものか。
だったら あのア○リカ兵に英雄の勲章があるのも、
あの少年が死刑になるのも仕方ない。
君はゴッドか?